<アングル宮城>大津波の爪痕今も 震災遺構「中浜小」が開館
2020年10月05日
【堆積】机やげた箱、樹木が流れ込み、堆積した1階多目的ホール。津波の威力をありありと伝える。机などの一部は当時清掃した自衛隊員が並べた=2020年9月19日
あの日から9年半。90人の命を救った海辺の学校は大津波の恐ろしさと備えの大切さを伝える防災教育施設に生まれ変わった。
宮城県山元町の東日本大震災の遺構「中浜小」が9月26日、開館した。約10メートルの津波が残した爪痕をできる限り保存し、フロアごとに見学の目的を明確にした。
1階は突き破られた窓ガラスや流れ込んだ樹木から津波の威力を知る。2階では震災前の町並みを再現した模型や上映プログラムを通し、地域の歴史や防災について考える。
そして、児童や住民らが身を寄せて一夜を過ごした屋上の屋根裏倉庫。来館者はあの夜を体感する。
「この地に足を運び、屋上に立って感じ、考えてほしい。未来の人々の命を救うヒントがあるはずだ」
当時校長だった井上剛さん(63)は開館式典で語り掛けた。
(亘理支局・庄子晃市)