築120年余、遊郭の面影今に 八戸「新むつ旅館」

2020年02月17日

6枚目/6枚中

<窓>娼妓が顔を見せていた玄関脇の厚い格子窓。近くの店の多くは転業時に通常の窓にしたという

 厚い格子窓を横目に玄関をくぐると、黒光りするY字階段の上を空中回廊が横切る。築120年余の「新むつ旅館」は遊郭の面影を残しながら、八戸市小中野の街角にたたずむ。
 明治期に貸座敷「新陸奥楼」として創業。1957年の売春防止法施行を機に旅館業へと転身した。
 切り盛りする川村紅美子さん(80)は東京都出身。都内で会社勤めをしていた後継ぎの久雄さんと62年に結婚した。旅館を継ぐため八戸に移り住んだのは39歳の時だった。
 3年前に85歳で亡くなった久雄さんは「ここを壊したい」とつぶやくこともあったという。「女郎さんたちの働きで自分たちが生活していたことに疑問があったのかもしれません」。紅美子さんは推し量る。
 かつて栄えた街も多くの建物が姿を消した。「全国に幾つもない希少な建物。私が亡くなった後も後世に残したいです」
(青森総局・荘司結有)

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