<アングル宮城>名取・閖上9度目の春 古里の味営業再開
2019年05月27日
【復活】8年ぶりに復活させた「ももや」のカツ丼を手にする小斎さん。以前の経営者の遺族から味の秘訣(ひけつ)を聞き取って、忠実に再現した。ちなみに、だしにはサバ節を使っていたという=2019年4月22日
宮城県名取市閖上の名取川沿いに、新たなにぎわいの拠点「かわまちてらす閖上」が誕生し、東日本大震災まで地元で営業していた9店舗が集った。
その一つ、「ももや」は昭和から続く食事処(どころ)。数あるメニューの中で人気だったのはカツ丼。ロース肉に半熟卵と薄切りのタマネギを合わせ、絶妙の味を奏でていた。
切り盛りしていた渡辺由美子さん、重治さんの夫婦は津波の犠牲になったが、「もう一度、ももやのカツ丼が食べたかった。復興の手助けにもなる」と、閖上出身のシェフ小斎悟史さん(37)が古里の味をよみがえらせた。
地元の海の幸を生かした店も戻ってきた。この夏にはさらに増え、「かわまちてらす閖上」は27店になる予定。26日には待望の「まちびらき」も開催され、地元の人たちだけでなく、閖上を訪れるお客さんをもてなす。
(写真部・小林一成)