<北海道地震>厚真・札幌ルポ 奪われた日常、自然の脅威 7年前と同じ

2018年09月10日

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安否不明者の捜索が続く土砂崩れ現場で、家屋から運び出された縫いぐるみなどの家財を手にする女性=2018年9月8日午後1時44分、北海道厚真町吉野地区(写真部・高橋諒撮影)

 災害は一瞬にして日常を奪う。8日に北海道厚真町の土砂崩れ現場を訪れ、東日本大震災の被災地でも感じた自然の脅威を再確認させられた。
 地震発生から3日目。のどかな田園地帯に、行方不明者捜索のために投入された重機の作動音、ヘリコプターのプロペラ音が響く。
 生存率が下がる目安とされる「発生後72時間」が迫る。自衛隊、消防、警察など計5000人以上が懸命の活動を続ける。
 現場を訪れた住民らが、被災家屋から見つかったアルバムや縫いぐるみを一つ一つ手に取っている。奪われた日常を思い返すかのように。
 町内で両親と祖母を亡くした公務員中村真吾さん(42)は「まさかこんな大きな災害が住み慣れた町で起こるなんて」と声を詰まらせ、「共同で農作業するなど町民同士仲が良かった。家族同然なので安否不明の全員が見つかってほしい」と語った。
 厚真町から北西に約80キロ。車で1時間半ほどしか離れていない札幌市は違う表情を見せた。交通機関が再開し、デパートは買い物客でにぎわう。都市機能が回復したようだが、所々に爪痕がのぞく。
 営業する小売店の食品、生活用品などの棚は空っぽのままだ。一部で取り扱いを始めた地場産野菜はすぐに品切れになった。市内の大学1年山口陸さん(18)は「スーパーなどを3軒回ってようやく食料を確保した。早く元通りになってほしい」と願った。
 市はJR札幌駅前の歩行者用地下道に避難所を開設。10人ほどの観光客が身を寄せていた。
 千葉市の無職今村賀夫(のりお)さん(68)は地震のあった6日未明から滞在する。今村さんは「6日の飛行機で帰る予定だった。支給された毛布や食べ物でしのいでいる。来週には戻りたい」と疲れた様子で話した。
(報道部・古賀佑美、高橋公彦)

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