<週刊せんだい>シニア世代の移動手段(1)タクシー 暮らしの足へ 自主返納で減額サービス

2017年12月07日

2枚目/4枚中

認知機能検査の概要を説明する検査員=仙台市青葉区の花壇自動車学校

 普段の生活を自動車に頼る人も、運転が難しくなる時期はやがて訪れます。高齢社会を迎え、公共交通機関や民間事業による移動の手だては十分確保されているでしょうか。買い物や通院はもちろん、暮らしの彩りにも外出は欠かせません。師走の12月、「シニア世代の移動手段」をテーマに、高齢者に優しい交通環境を考えます。運転免許証の自主返納や、路線バスの使い勝手、「買い物難民」といった側面に光を当ててさまざまな声を紹介。地域の実情に応じた取り組みを模索していきます。

◎検査強化が後押し 代替不備で二の足

 11月下旬の昼すぎ、仙台市若林区蒲町東のマンション玄関にタクシーが滑り込んだ。無職高野とく子さん(74)は、運転手に手伝ってもらいながら旅行かばんを後ろのトランクに積み込み、新幹線に乗るためJR仙台駅に向かった。タクシー会社「第一交通産業グループ」宮城ブロック(仙台市など)の割引制度を週1、2回使う。友人との食事やカラオケ、通院に活用し、近くのスーパーに歩いて買い物した際は荷物が重くなると帰りだけ頼む。

<10%減額サービス>
 同社は7月、仙台市で運転免許証を自主返納した65歳以上を対象に料金を10%減額するサービスを始めた。11月末現在で男性37人、女性8人が登録する。登録料や年会費はかからない。
 高野さんは2015年暮れ、40年ほど保持した免許証を自ら返納した。「視力、聴力の衰えも自覚していた」。返納後に交付を受けた「運転経歴証明書」は、顔写真付きの本人確認書類として重宝するという。
 65歳以上の高齢者による免許証の自主返納件数は増加の一途をたどり、宮城県内は10月末現在で4107件(県警調べ)に上る。3601件だった昨年1年間の数字を抜き、過去最多を更新した。
 3月施行の改正道交法で、免許更新時などの検査が強化された。自主返納などで運転を退く高齢者は今後も増えそうだ。

<社会全体で議論を>
 青葉区花壇の「花壇自動車学校」で11月中旬にあった更新時の認知機能検査。今月17日で75歳になる青葉区錦ケ丘の無職大谷正明さんは緊張した面持ちで筆記試験に臨んだ。判定は記憶力・判断力に心配がない「第3分類」。「しばらく安心して運転できるが、将来は返納を検討するかもしれない」と明かす。
 高台の住宅地に妻(77)と2人で暮らす大谷さんは、買い物など日常のあれこれを車に頼る。路線バスはルートや便数の面で使いにくく、ほとんど利用しない。「車無くして日々の暮らしは成り立たない。何らかの移動手段が整わないと、返納への踏ん切りはつかないのも確かだ」。先を考えると表情は晴れない。
 国は返納者の移動手段確保に向けて19年度以降、タクシーに鉄道のような定期券を導入する方針を示す。「気軽に外出できれば健康寿命を延ばせる」と高野さん。大谷さんは「高齢者の生活を支える交通を社会全体で考える時期だ」と訴える。

[認知機能検査]75歳以上の人を対象に認知症の有無や進行の度合いを確かめる。高齢者講習と併せ、運転免許証の更新期間が満了する日の6カ月前から受けられる。イラストを記憶して何が描かれていたか答えたり、時計の文字盤を描いて指定された時刻を針で表したりする。

[運転免許証の自主返納]運転に不安を覚えたり、運転の必要がなくなったりした高齢者ドライバーらが運転免許証を自ら返納できる制度。運転免許センターや警察署が窓口。有効期限内であれば本人確認書類として生涯使える同サイズの運転経歴証明書の交付(手数料1000円)を受けられる。

最新写真特集

記事データベース

企画特集

先頭に戻る