<アングル福島>旧式映写機 夢映す

2017年05月15日

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【熟練】田村修司さん(80)が操作するのは1957年製の国産カーボン式映写機。発光部から伸びた放熱用の煙突が特徴。60年代に全国の映画館で活躍したが、現在は数えるほどしか残っていないという。操作には熟練の技が必要になる=2017年5月6日、福島県本宮市の「本宮映画劇場」

 上映開始のブザーが暗くなった「本宮映画劇場」の館内に響く。音楽に乗ってニュース映画が始まった。映し出すのは「カーボン式映写機」。炭素製の棒を電気でスパークさせ、その光で投映する仕組み。今や国内に何台もない“お宝”で映画を見れるとは、何ともぜいたくなひととき。
 映画館が「娯楽の殿堂」だった時代があった。福島県本宮市に103年前に誕生した本宮映画劇場は最盛期、映画はもちろん歌謡ショーや演劇で大にぎわい。「お盆や正月は人であふれました」と劇場主の田村修司さん(80)が思い起こす。
 父親の後を継いで、田村さんが劇場経営を始めたのは20歳の時。やがてテレビの普及で観客が減り休館に追い込まれたが、「いずれ再開したい」と建物は壊さず、思い出深い映写機の手入れも怠らなかった。
 17年前、倉庫で古いフィルムを見つけ、再び上映会を開くことに。今月7日も開催し、短編映画を見てもらった。
 「映画好きが古い劇場で楽しんでくれれば、それで十分」。シネマパラダイスの老劇場主は控えめに話すが、表情は夢をかなえた満足感にあふれていた。(写真部・岩野一英)

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