<東北山林火災>自宅襲う炎「今後どうしたら」

2017年05月09日

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強い風にあおられ、激しい炎と煙を上げて燃える住宅=2017年5月8日午後2時30分ごろ、宮城県栗原市築館(住民提供)

 東北地方は8日、オホーツク海の低気圧が東へ進み、気圧の傾きが大きくなった影響で強風が吹き荒れ、黄砂が観測された。最大瞬間風速は八戸や岩手県大槌町新町、白石、仙台で31.1~23.0メートルを観測し、宮城県内全域で一時、暴風警報が発表された。強い風と空気の乾燥という気象条件から、各地で相次いだ山林火災のうち釜石市、栗原市、福島県会津坂下町では住宅を巻き込むなどしながら大規模化した。宮古市では屋根の上で作業中の消防隊員が転落死したほか、小型漁船が転覆し、男性が死亡した。

<「まさか」ぼうぜん/栗原>
 栗原市築館で発生した山林火災は数百メートル離れた住宅地に飛び火し、付近の117世帯392人に避難指示が出された。住民たちは炎の恐怖におびえながら避難所などに駆け込み、不安な一夜を過ごした。
 「まさかここまで火が来るとは…」。自宅と作業場など3棟が全焼し、親戚の家に避難した農業雫石忱子さん(80)は、ぼうぜんとした様子で振り返った。
 破裂音が聞こえて外に飛び出すと、自宅の裏山から火が見えた。「今は何も考えられない。今後どうしたら…」と涙を拭った。
 避難所となった築館高には最大で83人が身を寄せた。家族3人で避難した会社員村山大介さん(38)は「火の粉が飛んできて怖かった。風が早くやまないものか」と祈るように語った。
 近くのデイサービス施設「四季彩館」の佐藤正幸事務長(63)は、系列の老人ホームの入所者18人と体育館に駆け込んだ。「入所者はそれぞれ状態が違う。早く収束してほしい」と願った。
 現場の北側にある宮野小は、全児童129人が避難した。菅原ひろみ校長は「とにかく子どもたちが無事でよかった。状況を見守りたい」と話した。

<136世帯に避難指示/釜石>
 釜石市平田では大規模な山林火災が発生し、現場周辺に道路がない上、強風に阻まれて消火活動は難航した。現場は尾崎白浜漁港から北東に約2キロ。岩手県によると午後6時半現在、約100ヘクタールが焼けて延焼中。
 県は災害特別警戒本部を設置して自衛隊に災害派遣を要請した。陸上自衛隊岩手駐屯地などのヘリコプター3機が現場に向かった。
 市は尾崎白浜、佐須両地区の136世帯348人に避難を指示。午後8時現在、36世帯71人が市平田小などに避難した。
 佐須地区の無職犬亦(いぬまた)正一さん(81)は「自宅は杉林に隣接しており、燃え広がらないか心配。風が早くやみ、雨が少しでも降るのを願うしかない」と不安を募らせた。
 宮古市大通4丁目では正午ごろ、強風でめくれ上がったトタン屋根を固定する作業をしていた宮古消防署の隊員上野達也さん(42)=宮古市西ケ丘1丁目=が強風にあおられて建物の屋上から転落し、頭や胸を強く打って死亡した。
 同市の閉伊崎沖では小型漁船「湊丸」(0.6トン)が転覆し、乗っていた同市の漁業湊時雄さん(73)が亡くなった。

<ヘリ散水消火活動/福島・会津坂下
 福島県会津坂下町坂本では午前11時50分ごろ、無職宮本久喜さん(70)方が燃えているのをパトロール中の署員が発見した。全焼は宮本さん方を含む住宅4棟と作業小屋1棟で、他に住宅など計2棟の一部が焼けた。県警などによると、けが人はない。
 火災の拡大を受け、県は午後1時45分、陸自に災害派遣を要請。隣県や陸自などのヘリコプター計7機が上空から散水するとともに、地元消防などの約250人が地上から消火活動を続けた。
 現場はJR只見線会津坂本駅の南約300メートルで、只見線は火災発生後、一部区間の運転を見合わせた。
 福島県内ではこのほか、郡山市と伊達市で山林火災が起きた。発生から10日目となった浪江町の帰還困難区域の山林火災は鎮火に至らず、地元消防や陸自が消火活動を続けた。

<列車など運休>
 強風となった東北では8日、鉄道や空の便で運休や欠航が相次いだ。
 JR東日本仙台支社などによると、午後8時現在、岩手、宮城、福島の3県の東北線で上下36本が運休。八戸、山田、釜石、北上、仙山、常磐、奥羽の各線でも上下計22本が運休した。このほか、山形、秋田新幹線で遅れがあった。
 東北の各空港によると、山形、花巻の両空港で各1便が欠航した。

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