<震災6年>津波被災の樹齢400年の松残った

2017年02月10日

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移植作業が始まった末永家の松=2017年2月9日午前9時40分ごろ、仙台市宮城野区蒲生

 仙台市宮城野区蒲生で、東日本大震災の津波に耐えて残った樹齢約400年のクロマツを保存することが決まり、移植作業が9日、本格的に始まった。現地は市が災害危険区域に指定し産業用地にする土地区画整理事業が進み、市道整備に伴い伐採される可能性があった。元住民が地域のシンボルとして残すよう求めて実現し、市は震災から6年になる3月中に、約70メートル西の公園予定地に移す。
 クロマツは、蒲生字屋敷にあった旧家末永家の庭木の一つで高さ約18メートル。「末永の松」と地域住民に親しまれた。津波で家屋に被害を受けながら、家族や知人らが協力してクロマツに真水をかけ、守り続けた。
 地域一帯は住民の大半が内陸部に移転した。地域の歴史の貴重な証しとしてクロマツを残すよう、元住民が2014年7月に要望書を市に提出。翌年、末永家がクロマツを市に寄付し、保存が正式に決まった。
 市は16年3月、移植に向けて根元から掘り出す作業を開始。今月9日、根の下に取り付けた油圧式ジャッキで木を持ち上げる工程に入った。市によると、今後引き上げたクロマツを台車に載せて保存先まで移動し、植え直すという。
 保存を要望した中野小校区復興対策委員長の高橋実さん(79)は、クロマツについて「昔は小学生の通学時の集合場所になるなど地域に密着した存在だった」と振り返り、「保存が決まり感謝している。多くの人が暮らした歴史を次世代に伝えられればうれしい」と話す。
 内陸部に自宅を再建した末永家27代目の会社員末永幸紀さん(61)は「住民は離散してしまったが、松の木を見て昔のなりわいを思い出したり、心の支えにしたりしてもらえればありがたい」と願う。

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