命語り継ぐ震災慰霊碑移設 気仙沼で道拡幅

2017年02月02日

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慰霊碑の移設を前に犠牲者を供養する遺族や関係者。左から4人目が佐藤信行さん=2017年2月1日午前9時ごろ、気仙沼市

 東日本大震災の津波で93人が死亡・行方不明になった宮城県気仙沼市杉ノ下地区の慰霊碑が、近くにできる防災広場に移設される。そばの市道で拡幅工事が進められるためで、1日は遺族や工事関係者がクレーンなどを使い、仮置き場に運んだ。
 移設先は市が漁業集落防災機能強化事業で整備する防災広場で、現在地の約10メートル内陸側。市の提案を受け、今秋にも設置される見通し。この日は関係者が慰霊碑で手を合わせた後、クレーンで碑をつり上げて運び、約300メートル離れた仮置き場に移した。
 作業を手伝った杉ノ下遺族会長の佐藤信行さん(65)は「思いの詰まった場所なので、ずっと置いておきたかった」と、碑を見詰めながら語った。
 慰霊碑は2012年3月、遺族会が海岸から約200メートル内陸の高台に建立した。地区の市指定避難場所になっていた場所で、震災で避難した多くの住民が津波にのまれた。碑には93人の名が刻まれており、多くの人が訪れて故人を供養したり、津波避難の教訓を伝えたりする場になっている。
 杉ノ下地区は今も19人が行方不明となっている。佐藤さん自身は母しなをさん=当時(87)=を亡くし、妻才子さん=同(60)=の行方が分からないまま、3月11日に七回忌を迎える。
 「みんな帰りを待ち続け、区切りが付かない。月命日のたびに慰霊碑に向かって語り掛けてきた」と佐藤さん。「移転は寂しいが、近くに設置場所を確保してもらい感謝したい。ツツジやサクラを植えて故人を供養し、今後も多くの人に津波避難の大切さを感じてほしい」と話した。

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