<検証水産業>進む施設復旧 水揚げは8割

2016年02月24日

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 東日本大震災で大打撃を受けた岩手、宮城、福島の水産業。岩手や宮城ではこの5年で漁港や漁船など生産施設・設備の復旧が順調に進み水揚げが戻りつつあるが、加工業などで肝心の販路が回復せず、売り上げが伸びない傾向が続く。一方、福島では東京電力福島第1原発事故が重くのしかかかり、本格操業に至っていない。
 岩手、宮城、福島3県の水産業の復旧状況は地図中の表の通り。水産庁によると、漁港は震災で260漁港が被災したが、96%に当たる250漁港で水産物の陸揚げができるようになった(2015年11月末現在、部分的可能な場合を含む)。
 岩手、宮城の養殖施設は再開希望者の施設の整備が、14年3月末で既に完了。福島を加えた3県で再開を希望する水産加工業は、824施設のうち85%の699施設で業務を再開した(15年9月末現在)。
 漁船は3県で2万6173隻が被災した(稼働していなかった船も含む)。3県の漁船復旧目標に対する稼働可能漁船数の割合は、岩手97%(15年12月末現在)、宮城96%(16年1月末現在)とほぼ復旧が完了。福島も79%(15年9月末現在)まで戻している(各県調べ)。
 3県の主な漁港の水揚げ量と金額の推移は地図右のグラフの通り。3県全体では震災前に比べ、水揚げ量でおよそ80%、金額で87%まで回復した。
 石巻では15年、年間水揚げ金額が震災前の10年と同じ180億円台に乗った。気仙沼でも15年、震災後初めて200億円の大台を突破。宮古では15年はサンマやサケの不漁により伸び悩んだものの、14年は震災前と同じ71億円台に戻した。
 一方、東京電力福島第1原発事故の影響が続く福島県浜通り沿岸部では、操業自粛が続き、先が見通せない。遠洋のカツオ、サンマ漁船が入港する小名浜は、震災前に比べ水揚げ量で52%、金額で34%にとどまる。
 今後の課題について岩手県は「ハード面では整備が進んだが、販路回復や担い手確保に時間がかかる」(水産振興課)。宮城県は「水産物の消費拡大にさらに力を入れる必要がある」(水産業振興課)とみる。
 一方、福島県は「一刻も早い操業再開を目指す。試験操業拡大の努力を続け、本格操業のタイミングを探りたい」(水産課)としている。

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